久しぶりに富士そば「小滝橋店」に行ってきた。店は、新宿駅西口から徒歩数分に位置する。新宿を訪れる機会は多く「新宿店」「新宿都庁前店」「新宿三光町店」には、よく足を運ぶがなぜか「小滝橋店」は選択肢に挙がらず、「まあ、つぎの機会にしよう」ということになる。
足が遠くのは、メニューの代わり映えのなさに因しているのだけど、よくよく考えてみたらただの先入観に過ぎず、気まぐれにヒョイと覗けば、今夏の期間限定メニューと思しき「茎わかめの納豆の冷やしそば」(430円)などを販売していたりする。すまん、「小滝橋店」の店長。
「茎わかめの納豆の冷やしそば」は、冷やしそばの上に茎わかめとひき割り納豆、うずらの卵黄、そしてネギを盛ったもの(わかめは付かない)。麺上は納豆が高いシェアを占めている。
POPには、「三陸産」とあった。この惹句は、納豆ではなくもちろん茎わかめにかかるもので、クキクキとした力強い歯ごたえ。もっとぬるぬるしているものと思ったが意外とそうでもない。ぬるぬる・ネバネバ担当は、納豆に託された。
冷たい麺と納豆の相性はとっくに承知しているし、その美味さは推して知るべし! なのだけど、ある問題を抱えていることも十分理解しているつもり。どんな問題かというと、とにかく、納豆が麺と絡まない。食べ始めの、納豆に十分な量があるうちは、そばに納豆を乗っける要領でなんとか同時に口に運べる。しかし、納豆が減ってしまうとそばに乗せることは困難。食事の中盤あたりからは、「納豆が十数粒付着したそば」を食べる感じになってしまう。そばを食べきった器の底には、無残に漂う納豆の残骸が。液体に浸かった納豆を箸ですくう難しさは、誰もが知るところだろう。
人は良い体験よりも悪い体験が強く印象に残るという。茎わかめの楽しい歯ごたえやそばと納豆の相性などの思い出は、納豆を残してしまった無力感、罪悪感に帳消し、いや上書きされたといった方が適切か。後味の悪さを胸に、駅に向かう道中「あの店にはしばらく行くまい」とわざとらしく呟いてみた。
希少性:★★★ インパクト:★★☆ コスパ:★★★