先日、ツイッターで富士そばのことで騒いでいるアカウントを見つけた。該アカウントは「そばにうどんが混入していた!」と訴えていて、わななきながらも、うどんが混ざったそばの写真をしっかりタイムラインにUPしていたあたりは、さすがはツイッター民といったところか。SNSでたまに見られる、自尊心のために虚飾の正義感を振りかざす様を目の当たりにする恰好となった。
立ち食いそば屋のうどんは、そばと同じ鍋で茹でられていることがままある。これは、富士そばに限ったことではなく、ほとんどの立ち食いそばが当てはまると思う。だいたい想像がつきそうなものだけど、普段、立ち食いそば屋になじみのない人には驚嘆すべき事実なのだろう。そば粉アレルギーの人にとっては、下手をしたら命にかかわることだから、ゆゆしき事態だ。
うどん混入の叱声を意に介さず、というか頓着すらないもたないのが富士そば「田町店」だ。この店の「合い盛り」(500円)は、そばとうどんのハーフ&ハーフ。あえての「うどん混入させときました!」なのだ。
「一粒で二度おいしい」という言葉があるくらい、人は「ハーフ&ハーフ」に弱い。ビールと黒ビールのハーフ&ハーフ、カレーとハヤシのハーフ&ハーフ。どれも心ひかれる響き。しかし、「合い盛り」はどうだろか。どちらかというと「うれしくないハーフ&ハーフ」に類するのではないだろうか。なんだかあまりときめかない。いや、これは私の極々個人的な価値観による判断。世の中には、「そばとうどんをひとつの皿で食べてみたい」と強く願っている人も必ずや、いるはずだ。かくいう私も心躍ることはなくとも、些かの興味はある。知人が「俺、10年前は縄飛びで三重飛びできたんだよ。いまからやってみていい?」と申し出られたときくらいの興味だ。この微妙な関心の程度、伝わるだろうか。
希少性:★★★ インパクト:★★★ コスパ:★★☆