人生一度くらい「なかやま、傾(かぶ)いてんなあ」と、もてはやされてみたい。贅沢を言うなら、サークルの女子マネージャーに肘で小突かれながら。
と言いつつ、「傾(かぶ)く」の意味がよく解らなかったんだけど、「常識はずれ」や「奇抜」とかいう意味らしく、「歌舞伎」の語源だったりする。
私の知る限り、富士そば「三光町店」の店長は相当、傾いている。なんせ「歌舞伎そば」(580円)なんてのを開発してしまったんだから。グランドメニューを凌駕する高価格もさることながら、温玉、豚肉、海老天、油揚げという脈略のないトッピングも相当傾いている。これなら、店主の「歌舞伎のお客様、おまちぃ」の声に、大見得を切ってやればよかった。
なんでわざわざ「歌舞伎そば」なんて品名にしたのか、店頭で配布しているメニュー表を見て納得した。「KABUKI」。外国人客向けのメニューのようだ。おそらく、歌舞伎町にもかかってるんだろうね。いまや、外国人向けの日本ガイドブックでも紹介される、富士そば。そんな店で「KABUKI」なんて見かけたら、日本文化に得体のしれない魅力を感じている異邦人はきっと食いつくだろう。ただ、「歌舞伎」の意味を一番解っていないのは外国人客ではなく、開発した店長だと思う。
希少性:★★★ インパクト:★★★ コスパ:★☆☆